スターリンというと、初期のスキャンダラスなステージングとか、ものすごい高速テンポのハードコア・パンクみたいなイメージが強いと思うんですが、実はボクが一番、今ハマってるのが、このアルバムだったりするんです。後にビル・ラズウェルのリミックス版で有名になりますが、オリジナル・ミックス版の方です。


曲もそれなりに長いし、テンポもそれほど速くないです。ギターは歪んでいるけどパンクという感じでもハードロックという感じでもなく、あえていうならサイケ。それもダークなサイケデリック。ある種、ドタバタとしているバンドアンサンブルは胃もたれしそうなほど「重い」。で、そこが魅力。


どこか放心状態で投げやりな遠藤ミチロウのボーカルも、ひとたび歌詞に目をむけると、とてつもなくスリリングでユーモラス。たとえば「用がないと幸せなんだ」「オフクロの肉はマズイぞ」ってな具合。無造作にカットアップされた歌詞の断片は、聴き手に無限のイメージをあたえてくれます。スターリンって深いのよ。ホントに。