高校生の時「カップルズ」を聴いて、非ロック的な感性に目覚め、「ベリッシマ」でソウル的な感性に目覚め、「女王陛下〜」で映画やアートに目覚め・・・なんて書くと、まるでピチカート・ファイヴの洗礼をモロに受けたリスナー代表みたいですが、実際そうなんだから、仕方がない。ロックは死んでも、渋谷系は死なず。


「月面軟着陸」を当時聴いたときは、たしかにヒップホップのようなブレイクビーツに、快感を感じていたものですが、ひさしぶりに(ホント、何年ぶりだろう)聴き直したら、大半を占めるトラックは、生演奏で、それも、すごくゴージャスなストリングスやブラスもあったり。思ったよりも、ずいぶん音楽的なユニットだったんだなぁ、と。


リアレンジされた「リップ・サーヴィス」が素晴らしい。たしかにモーメンツがネタとはいえ、それを越えるドラマチックな盛り上がり(後半の転調の繰り返し!)。ただ、聴いてる時は目まぐるしく景色が変わっていくアルバムなのに、聴き終えると荒地のような虚しさが。渋谷系以前に渋谷系だった先駆者ならでは苦悩と葛藤が、今となっては少々痛々しい。