タイム5は、現在もオリジナルメンバーで活動している日本のベテラン・コーラス・グループ。フォー・フレッシュメンに影響されたグループらしく、実際、演奏しながらコーラスするというスタイルまで似ています。このデビュー作は、時代の影響もあってA&Mやヴァーヴあたりのレーベルを思わせるボサノヴァ曲がほとんど。


セルジオ・メンデスがトレンドだった当時ならではの、明るく溌剌とした音楽。日本語がのるかどうかなんて試行錯誤しているロック畑の喧騒とは別世界で、ジャズ/ボサノヴァをサラっと消化してしまう洗練された感覚。ソフトロックという結果論だけをなぞる90年代以降のロック世代とは基本がまるで違うというか。


英語で歌っても、どこか邦楽っぽく感じられるのは、コーラスワークはもちろん、英語の発音まで独学だったという彼らならではの「味」なのです。万博のパヴィリオンを今、新鮮に再発見するようなレトロフューチャーな響きが。自分のオヤジのカッコいい大学生時代の写真を見つけてしまったような、ちょっと悔しい気分も同時に。