それまで微妙に捨てきれずにいたエレクトロな要素を一切省いて、完全アコースティックなアンサンブルで作られたハイラマズの傑作。初めて聴いたとき、そのあまりの地味さ加減に、ファンであるボク自身も呆れたもんでしたが、聴くほどに好きになるスルメ味的な名盤でした。


相変わらずビーチボーイズでいうところの「フレンズ」('68)の頃の、ほんわかムードはそのままに。でも、完全にブライアン・ウィルソンと違うところは、メロディやコーラス主体ではなく、ほとんど「コード進行の妙」だけで作られた雰囲気音楽だから。でも、そこがハイラマズ的なオリジナリティのひとつなのです。


せっかくの休日なのに、ひとりで特に何もやることがなく、ダラダラと過ごしてしまう。せいぜい近所を散歩して、終わり、というような。楽しくないわけじゃないけど、なんか虚しいような。ハイラマズの音楽とは、そういうものです。聴くたびに、子供時代の「夏休みの終わりごろ」を思い出してしまうような切ない音楽。