クラシカル・ロックの典型的なサウンドでありながら、あまりにも「これでもか」というくらいに叙情的で泣きのメロディばかりのストリングスで盛り上げられると、それはそれで強烈な個性を感じさせてしまうものです。このアルバムの冒頭の3曲がそう。とにかく徹頭徹尾「バロック・ロック」してます。


しかしストリングスと同じくらいギターの歪んだ音もフィーチャーされていています。4曲目はストリングスに頼らずジミヘンに捧げられていて、それが思いっきり「リトル・ウィング」しているのは何とも微笑ましいです。それでも時折現れるオルガンやコーラスは、やっぱりイタリアだなぁ。


さらに後半は即興演奏と構築された楽曲が絶妙なバランスで並んでいます。テクニックは当然あるんですが、それ以上に青臭い情熱のようなものが全編に支配されていて、いかにも70年代初頭ならではの雰囲気が濃厚。そういうところは、同時期の日本のニューロックあたりと、絶妙にリンクしているといえます。