フリッパーズ・ギターがまだロリポップ・ソニックと名乗っていた頃、音楽雑誌で特集されていた「アノラック」とか「C86」とか、そういうムーブメントの意味がさっぱり理解できなかった憶えがあります。パステルズも名前だけで、音楽そのものは地方に住んでいた自分に入手できるわけもなし。


ようやく90年代初頭、新宿の「Vinil Japan」や渋谷の「ZEST」といった輸入レコード屋で、そうした「へなちょこギターポップ」(←これなら、わかりやすい表現でしょ)の数々をEPやらLPやらで買いまくったのは、彼等のアマチュアっぽい佇まいに何かしらの共感があったからでしょう。


スティーヴン・パステルの歌声を初めて聴いた時「むごい、あまりにヘタすぎる」と思いつつ、なぜかその歌声と、それ以上にヨレまくる演奏に聴けば聴くほど心を奪われてしまいました。真のロマンティズムとは情けなさと紙一重。そんなパステルズの初期の名曲を集めた編集盤。正直好きな人だけが聴いてればいい。