アル・クーパーの作る曲は、いい曲が多いけれど、妙に器用貧乏なところもあって、最初の頃は印象が掴みづらいアーティストでした。チャーリー・カレロのブラスやストリングスを多用したアレンジも、いわゆる当時のニューロック的な風情をかもしだしすぎて、どこか古臭く聴こえてしまったのも事実。


でも、アルの歌声が好きになってしまうと、その華やかで多彩な曲調に、どんどん引き込まれてしまうのです。曲の骨格になるアレンジの部分では、ビーチ・ボーイズというかブライアン・ウィルソンの影響が予想以上に強い曲が多く、またオタク的じゃないけど、資質はトッド・ラングレン的に凝り性な部分も。


短い曲が、メドレー形式で展開していくところなんか、ハーパース・ビザールにも通じるやり過ぎ感も部分もあるのですが、全体を包み込む雰囲気は、やはりニューヨーカー的なオシャレさといいますか。フォー・シーズンス風、ビートルズ風、など「〜風」という曲が多いのに、結局はアル以外の何物でもないアルバムになってます