グラム・パーソンズの遺作となった名作アルバム。ほとんど曲がエミルー・ハリスとの美しすぎるデュエットなのですが、そのどれもがモロに「カントリー」なバラードだったりするのです。これまで試行錯誤してきたカントリー・ロックのいわゆる「ロック」の部分が、ほとんどありません。


グラムはカントリーにロックのスピリットを注入たかったのに、どんどんカントリーを追及していったあまりに、結局は骨の髄までカントリーそのものの男になってしまったのです。だから、たとえばエヴァリー・ブラザーズのカヴァー曲を歌っても、やはりそれはカントリー音楽そのものになってます。


つまりカントリーというのは、保守的なようでいて、実はとても自由度の高い音楽なのです。聴いている方が漠然と「あぁカントリーだなぁ」と思ってしまえば、後は「何でもあり」。本当はヒルビリーというジャンルこそが正しい表現かもしれませんが、それはまた別の話ということで。