モード手法って、一歩間違えると素人にも簡単に出来てしまうモンでして、たとえばマイルス・デイビスの「So What」なんて、ピアノだったら、とりあえず白鍵だけを使ってソロを弾いてれば、それっぽくなってしまう・・・と思ったら、半音転調して、裏切られてしまうんですが。


マイルスが「帝王」であるとか、モードうんぬんを語ると難しそうな印象ですが、音そのものは、決してわかりにくいものではなく、むしろとっつきやすいです。落ち着いていてムーディでエキゾチックで(モードのせいか?)、なおかつちょっと危険な香りも漂う感じ。聴けば聴くほど味が出てくるのです。


マイルスの音楽の醍醐味、というか真の主役はサイドメンの方々にあります。ジョン・コルトレーンのサックスは、ますます確信的なフレーズを吹いてくれますし、ビル・エヴァンスのピアノの美しい響きは絶品。特に3曲目と5曲目のバラードは、ジャズ初心者の女性でも「いいわぁ」と思わせるに充分な名演です。