16ビートを細かく切り刻めば32ビートになるのは当然なんですが、それに更にリズムがくったり、くわなかったりを繰り返すと、もはや単にズレていたりズッコケているようにしか聴こえない・・・というバカバカしいまでに複雑化されたインストで勝負した日本の伝説のバンドがティポグラフィカでした。


メンバーは今堀恒雄(g)を中心に、外山明(ds)、水谷浩章(b)、水上聡(key)、菊地成孔(sax)、松本浩(tb)といった凄腕集団。テクニック見せびらかし大会に終わらぬエンターテイメント性は、やはりフランク・ザッパにも通じるユーモア感覚があります。頭でっかちな楽曲なのに、演奏はそのものはライブのように肉体的という絶妙なバランスが最高です。


メジャーから再びインディーズに戻ってしまったこのラスト作でも、クオリティは落ちるどころか、むしろ加速して、何だかスゴイことに。フレーズが幾分、抽象性を増した感があるものの、逆に聴くたびにジワジワ効いてくる気持ちよさが。数曲ある今堀氏の脳内イメージを具体化したようなスケッチ風のDTM曲も新境地。