メッセージではなく、マッサージ。ニューソウル・ムーヴメントが一段落した時期だったからこその洒落なのかもしれませんが、ソウルミュージックに本当に必要なのは、そんなマッサージ効果のように聴き手をリラックスさせてくれるような極上のグルーヴということなのでしょう。ナイスなジャケットです。


もちろんリオン・ウェアマーヴィン・ゲイに捧げた「アイ・ウォント・ユー」('76)とは双子の兄弟のようなアルバムで、実際CDのボーナストラックには、「アイ・ウォント・ユー」収録曲のリオン版のいくつかが。それらも含めて、これほど捨て曲が1曲もないソウルアルバムも珍しいです。


リオンはマーヴィンほどエロエロ声じゃないけど、聴き進むにつれて胸がジワジワと熱くなるような、こちらも優れたボーカリスト。ミディアムテンポの16ビートで、ネチネチと繰り返すメロウなリズムセクション。ディスコにも犯されず、ソウルミュージックが、最も幸福な時代だった頃の名作のひとつ。