「名盤なのに聴いてみたらサッパリ、わけがわかんなかった」みたいに言われるジョン・コルトレーンの「至上の愛」('64)ですが、ボクの意見はまったく逆で、あのアルバムを聴いて、初めてジャズの面白さに目覚めたんです。スピリチュアル系ジャズと呼ばれるジャズの基本は、つまるところ、あるアルバムに尽きるわけです。


だから、同じインパルスでコルトレーンの流れを組む、ファラオ・サンダースのアルバムは(アーチー・シェップと並んで)すぐに好きになりました。この「Karma」も代表作ですが、「Jewels Of Thought」('69)、「Wisdom Through Music」('72)あたりも含め、この時期のアルバムは、どれも必聴です


音楽的にも、コルトレーンほどフリー一辺倒じゃなかっただけに、今ではすごくポップにさえ聴こえてしまいます。リオン・トーマスのヨーデル声と多種多様なパーカッションが織り成す世界は、ジャズというより、ほとんど民俗音楽。異教徒のカルトなパーティーに迷い込んだようで、それもまた楽し。