P−MODELの3枚目のアルバム。このアルバムはムーンライダーズの「カメラ=万年筆」('80)と並んで、小学生の時の数少ないお小遣いで買った大切なレコードなんですが、実際、この2枚は、自分の中で印象が似てるんです。ニューウェイヴとプログレが、見事にクロスオーバーしているような。


チープなオルガンとギターを主体としたシンプルなバンドアレンジながら、とにかく曲作りがユニーク。平沢進のソングライティングもさることながら、初期のメンバーである田中靖美の曲も、同じくらい素晴らしいのです。不条理でシュールな歌詞やジャケットのセンスなど、何もかも新鮮でした。


マンドレイクというプログレバンドからカラフルで軽くスピード感のあるテクノポップへの変身で世間を賑わした初期2作を超え、ここでの彼らは、それまで以上に屈折して鬱屈して悲観しながら、それでもなおかつ何か強い意志を提示しています。得体の知れないパワーがみなぎる最高のロック。