スティーヴ・キューンは、ベテランのジャズ・ピアニスト。ピアノの美しい響きに徹底的にこだわった流れるような弾き方はクラシック的ともいえます。ソロらしいソロは弾かずに、コードの美しさだけで曲を盛り上げたり、また時にまるでハープでも演奏するようなゴージャズな演奏など、一度ハマってしまうと、もうずっと虜に。


スタンダード曲もやったりする人ですが、オリジナル曲の方が個性が発揮されるようです。何しろコード進行の妙だけで最後まで聴かせてしまうのです。ECMレーベルとの相性は抜群で、特に70年代に発表された「トランス」や「エクスタシー」はもちろん、1996年のピアノトリオ作「Remenbering Tomorrow」も必聴盤。


2004年に発表されたこのアルバムも大変美しい作品。全曲オリジナルで、ドラムレス。ピアノとベース、それにカルロス・フランツェリ指揮による美しいストリングスが全編に入ってます。「癒しのピアニスト」といったら、坂本龍一じゃなくて、こっちの方でしょう、むしろ。もはやジャズを超えた「純音楽」の究極かも。