まだ中学生になったばっかりぐらいでしたが、レコードショップに予約までして買いましたよ、これ。当時は「う〜ん、テクノじゃないなぁ」とガッカリでしたが、テクノも現代音楽も超えたこころで、シンプル・イズ・ベストなサウンドを目指すことが、実は坂本龍一の中では過激な挑戦だった頃の作品かも。


内ジャケットを開くと、1曲1曲にイメージ図のようなものが描いてありますが、そんなまさにデザイナーが作るような音楽といいますか。ただただサウンドそのものの質感だけにこだわったような曲が、コロコロとイメージを変えながら、どんどん進んでいきます。インストながら、実にヴァラエティに溢れるうれしい一枚。


代表曲はやはり「Self Portrait」でしょう。どの曲もひねくれたメロディになってしまう坂本龍一が、唯一直球で勝負したかのようなドラマチックかつメロウな曲。他にもジャジーなサックスが魅力的な「Tribute To N.J.P.」や機械仕掛けのエリック・サティみたいな「M.A.Y. In The Backyard」など、聴き所は満載。