「音の悪いライブ盤だから内容も悪い」とは限らないわけです。たとえばキング・クリムゾンに「アースバウンド」('72)という客席からカセットで録音したようなヒドイ音質の海賊盤まがいのライブ盤。それが何故か昔から大好きでした。音が不鮮明なのが、逆に「スゴイことが起こっている」というこちらの想像力を喚起させるのです。


フレンチ・プログレの王者、マグマも、まずは「ライブ盤」にこそ真価があるバンドなわけですが、このアルバムは、元々バンドに無許可で発表された70年代前半の「寄せ集め」的な音質も編集も粗悪なもの。しかし、これまた「アースバウンド」同様、何か得体の知れないパワーが全面にみなぎって、スゴイのなんの。


マグマ史上最強といわれたヤニック・トップの歪んだベースが唸りまくるは、それに答えるようにクリスチャン・ヴァンデがドラムを叩きまくるわで、とにかく全編テンションが高い。番外編というかコアなファンに向けてのボーナス的なアルバムながら、いや逆に、これがマグマを聴くきっかけになっても充分すぎる名演揃い。