ビートルズが新しいアルバムを出すたびに興奮していたというリアルタイム世代が羨ましくてたまらないのですが、それに近い体験がボクにとっての80年代のXTCだったのです。ビートルズよりXTCの方が人生を変えたかも。XTCを通してサブカル的パワーがみなぎり、コレクト欲に刺激されたのは確かな人生の節目なわけで。う〜む。


もしツアーを止めなければ、今のポリスぐらいの一般的な高い評価と人気を得たバンドだったのかも。ですが、そうなったら逆にこの「ビッグ・エキスプレス」のような素晴らしいスタジオ・アルバムが聴けなかったのかもしれないのです。そんなことを思いつつ、しみじみ聴こうと思ったのに、やっぱりまた大興奮の連続。


英国トラッドっぽいメロディの「すべてのかわいい女の子」や、ケンカ別れした悪徳マネージャーを歌った「嘘つき鳥を買った」や、核戦争後の未来を虚しく歌う「過ぎ去った世界」など、文学的な深みのある歌詞。重厚でエレクトリックなギターと緻密なサウンド・プロダクション。とにかく曲そのものが、桁違いに「良すぎる」。