ウィスパー・ボイスの達人、ビーチェ(bice)のファースト。個人的には、より内省的になったセカンドの妖しい魅力には幾分負けるとは思いつつ、やはりこのファーストも大好きなアルバムです。彼女のアルバムの中でもメジャー感のある作りで、生ドラムやストリングスなど、バンドっぽい生なサウンドが中心です。


「Deep」や「I Wanna Take You Home」あたりがそうですが、とにかくイントロから「おぉ〜」と思わせるインパクトある曲が多いです。むしろ心地好いウィスパー・ボイスは、その尖ったメロディを親しみやすい雰囲気に変えている感すら。歌詞は、この頃はまだ普通の女の子っぽい感じですが、それもまたよし。


ウィスパーといってもフレンチではなく、彼女の場合は60年代から70年代にかけての往年のブリティッシュ・ロックやポップスの良さを見事に体現できてしまう曲作りやアレンジのスキルが、他にありそうでない独自の個性なんですね。でも、アイドルっぽいジャケが逆に損してるかもしれません。本物の天才ですよ。うん。