70年代初頭に流行し、その後ポルポト政権によって弾圧されてしまう「カンボジア・ロック」を、現代に再現するというとんでもないコンセプトで結成されたLAのバンド。マイナーメロディを主体にしたクメール調の歌謡曲っぽいサウンドは、無国籍かつ時代感覚無視。You Tubeで観れるライブ動画も、笑っちゃうほど妖しい雰囲気。


女性ボーカルは、完全にカンボジアの女性で、キュートでありながら、一筋縄ではいかない妖艶な魅力があります。そこにドアーズかGSかといった60'sなチープなオルガンが絡んでくると、もう本当にこれが現代のバンドかと疑うほど。が、巡り巡って、こりゃ新しいって思うわけです。とにかく今、一番好きなロックバンド。


デヴァンドラ・バンハートなんかもそうなんですが、ロックという音楽が世界中に飛び火して、それぞれの国で独自に解釈して出来上がった「変なロック」を、今度はアメリカ人が、それを再現するという、この何ともいえない現象が、めちゃめちゃ面白いわけで。デングフィーヴァーには、そこに更に痛烈な政治的メッセージも感じます。