センス史上主義。なおかつコンセプト重視。加藤和彦のこうした徹底的なこだわりも、すべてがあまりにも明確な意思を持って全編が貫かれているから、すごいのです。オシャレとかセンスの良さとかそのいうものって、実は軟弱なようでいて、結局最終的には、そこをクリアーしなければ、ポップスとしてありえないのではないかと。


フォークル時代に、すでにサイケとフォークが一緒になたような歪なセンスで世の中をあっといわせたり、ミカ・バンドのグラム路線、ソロ時代のアシッド・フォークやマッスル・ショールズ録音だの、「ガーディニア」のブラジル路線から、エキゾチックにロシア構成主義・・・考えてもみれば、この幅の広さたるや、とんでもない。


ベル・エポック路線のYMOの起用もゲスト負けしないどころか、もう本人の気迫が凄くて、いい意味で緊張感があります。既に脱テクノなYMO人脈を横目に、清水信之がワンマンアレンジで互角に戦ってるのも驚き。金子國義によるジャケもグッド。「American Bar」という曲が昔から大好きでした。ご冥福をお祈りします。