かつて「ポップになりすぎた」と批判を浴びていた本作ですが、今では後期の傑作とまでいわれてます。が、あくまでプログレ・ファンの間だけの話。ジェントル・ジャイアントがロック・ファンの間で今ひとつ不人気なのは、今も昔も変わりませんけどね。もし「どれか1枚」というなら、とりあえず本作から入ってみてはどうでしょう。


何しろ、まるでバッハがファンキーロックでもやってるようなアンサンブル。初めて聴いたのは高校生の頃。洋楽曲のコピーしてコード進行を勉強していた自分に、「悔しかったらコピーしてみろ」とケンカを売られたような本作。コード進行じゃなくて、音符ひとつひとつ採譜しないとできないロックって、何なの?


リズムはハネ系でファンキーなのに1拍ごとにコードチェンジしたり、バラードなのにアコースティック・ギターが壮絶な対比法でもってユニゾンしたり。ここまでヒネくれてるのに、どこか大食漢みたいな印象なのも不思議。超絶技巧をヘラヘラと笑って演奏するような彼らこそ、まさにロックンロール・サーカス!