ボーカルのパワーというか、節回しの魅力といいますか。ディオンの独特の甲高い歌声を聴いてると、「この曲をディオンが歌ってくれたら」というイメージが無数に浮かんできます。ドゥーワップにロックン・ロールにR&Bにカントリーまでなんでもござれ。この2枚組CDは、62年から66年までのコロンビア時代の集大成。未発表曲も。


前半は「ルビー・ベイビー」に代表されるベルモンツ時代から繋がるドゥー・ワップ〜ロックン・ロールタイプの曲が多数。リーバー&ストーラー、いい仕事してます。しかしながら、さりげなく「ワーク・ソング」や「フィーヴァー」なんかで垣間見せるジャジーなセンスも抜群なのです。センスある人、強い。


後半は、フォーク・ロック系サウンドで、演奏はラフに、でもボーカルは、それがたとえ未発表曲でもキチンと歌いこんでいます。トム・ウィルソンがプロデュースしたあたりから、さらにワイルドになった印象がありますが、そこでもディオンの歌は完璧。どんなジャンルを歌おうとディオンはディオンになってしまう、という。