ヴァン・モリソンがマイペースで長く音楽活動できた理由のひとつとして、ロック・ミュージシャンにありがちな「老いとの戦い」をスルーできたのではないか、ということが考えられますね。だって、最初から老けたような音楽やってるんだもん。思えば、ゼム時代から、既にオヤジっぽい歌い手でした。若かったのに。


そんな彼の「いい味だしてるオヤジ」風情を楽しめるのが、この2枚組のライブ盤。ボクの持ってるアナログ盤のジャケは3面開きになっていて、ライブの雰囲気が写真で味わえるんですが、決してスマートとはいえないヴァンの熱唱している姿が、中身の音楽と熱さにピッタリで、いい相乗効果です。


選曲も、この時点ではベスト。原題は「♪止めろっと言われても〜、今では遅すぎる〜♪」って感じでしょうか。演奏は適度にリラックスしつつ、クールとホットのバランスが絶妙。ホーンと小編成のストリングスもよいです。例によって「グロリア」で大盛り上がり。ヴァン絶好調の記録。