ジョン・スペンサーといえば、後にブルース・エクスプロージョンで有名になった人ですが、以前に彼がいた伝説のグループがプッシー・ガロアグランジを語る上ではソニック・ユースと同じぐらい重要なバンドだと思うのですが、音楽そのものはグランジというよりパンク。いやジャンクというかスカム。とにかくメチャクチャ。


この編集盤は、そんな彼らの初期音源(85年と86年)を集めた編集盤で、なんと28曲も入っています。しかし内容はカセットのテレコで1発録音したような、というかむしろそれ以上に極悪非道なサウンド。まともに曲と呼べるのは数曲で、あとはリハーサルしながらケンカする音とか、本当にろくでもない(笑)


ドタバタとゴミ箱を叩いているようなドラムは、終始リズムをキープせず、ギターはディストーションすらまともにならず、ベロベロとなってるだけ。歌詞は意味なし。ただ絶叫。しかし不思議と音が明るい。初期ボアダムズに通じる清々しさ。音の隙間から、ヴェルヴェッツやストーンズの亡霊が、現れては消えるような傑作。