ストリッパーのヒモ、みたいなジャケもハマりすぎなトム・ウェイツの4枚目のアルバム。1曲目の「Tom Traubert's Blues」からして、もはやダミ声を通り越してコメディの域に達してます。味わいとかじゃなく、完全なる芝居。でもその役者っぽさが彼の魅力なんですね。なんというか、映画的な音楽。


そういえば、この曲がドラマ「不毛地帯」のエンディング・テーマで流れて話題になりましたが、観たことないんで、どういう感じで受け止められたのか知る由もありません。が、初めて彼の声を聴く人には、おそらく相当なインパクトであったことは確かでしょう。ボクも初めて聴いた時にはビックリしましたし。


ところが、ダミ声のインパクトで終わらない魅力があって、それがたぐい稀なソングライティングのセンス。ビートニクっぽい詞は日本語訳を読んでも抜群に面白いし、メロディもよく聴けばキレイ。ダミ声というハードルを越えてしまえば、もはやどのアルバムも好きになってしまうこと請け合い。