単なる変拍子のジャズなら誰でもアイデアは思いつきそうなものですが、そこに流れるようなメロディとブルージーなフィーリングを感じさせるというのは、なかなか難しいもの。デイヴ・ブルーベックは、それがサラリと作れてしまう人。そして、このクァルテットは、それをさらりと演奏できてしまう凄腕集団でもありました。


リーダー・アルバムの中にはスタンダード曲を取り上げたものも多いのですが、やはり圧倒的にオリジナル曲が面白いような気がします。ドナルド・フェイゲンの「ニュー・フロンティア」という曲の歌詞でもブルーベックが登場しますが、何となく当時のインテリの白人学生あたりにウケけていたという雰囲気、確かにしますね。


その名の通り「ラグタイム・ワルツ」のポール・デスモンドのスムースなアルトサックスの音や、「フォー・モア・ドラムス」での盲目のドラマー、ジョー・モレロのドラマチックなソロなど、聴き所満載。手拍子を取り入れながらも7/8拍子という「アンスクェア・ダンス」が特に大好きで、今でも全然革新的でカッコいいと思います。