UKのブルース番長、アレクシス・コーナー。ブルース校長というと、なんかお行儀が良すぎる感じなので、ここはひとつ番長にしておきましょう。ローリング・ストーンズもクリームもフリーもコロシアムも、いや突き詰めれば60年代に盛り上がる英国ビートやモッズ・ムーブメントも、すべては彼が出発点だったのではないでしょうか。


ビートルズ以前には英国にはロックがなかった、なんてのはウソで、イーリング・クラブで繰り広げられていたブルースやR&Bやジャズなどがミクスチャーされたセッションとその人脈こそが、英国ロックという木の太い幹にあたるといっても良いでしょう。その中心には、いつもアレクシス・コーナーがいました。


このアルバムは、葉巻をくわえて困った顔したジャケットも最高ながら、内容もすこぶるいいのです。ブルースって、こんなにユニークで突拍子もない発想でもOKなのですね。1曲目のラテン感覚や、全体に漂うジャジーなフィーリング。そのどちらも、妙にチープで風変わりなのが面白い。ヨレヨレなのにハードボイルドな1枚。