バカラック作品集というのは、古今東西山ほどあるわけですが、もともとの曲の良さに救われて極端なハズレも少ない分、飛びぬけて出来のいいものもなかったりもします。単にバカラックはやはり偉大だ、だけでなく、プラス、取り上げたアーティストのオリジナリティも、やはり欲しくなってきます。


その点、このアニタ・カー・シンガーズの「リフレクト」には驚きました。心地よさと実験精神がさりげなく同居しているのに、あくまで印象は「普通のイージーリスニング」。何より男女2人づつの4声が紡ぎだすハーモニーの美しさといったら!全曲が同じムードで聴けるのに、ちゃんと飽きさせない創意工夫も。


カヴァーだから、所詮はムード音楽だから、と片付けてしまっては、なかなか見えてこないオリジナリティというものがあります。間違ってもロックではなかった、こうした音楽を「ソフト・ロック」として定着させた後世代ロック・リスナーの感性も、それはそれで、すごいオリジナリティなのですが、