世代的にバブルを満喫できた大人ではなかったのですが、子供心にも「甘い記憶」のように残る泡っぽい音楽というのがあって、そのひとつが木村恵子の「コルトレーンで愛して」という曲。たしか当時ラジオで聴いたのかな。なぜかコルトレーンというキーワードと、妙に色っぽい歌声にゾクっとくるものがありました。


この人の名前を本格的に意識したのは、ソロではなく、その後ギターの窪田晴男(ex:パール兄弟)と組んだボサノヴァ・ユニット、ケルカンでした。そのけだるいボーカルはもちろん、英語のスタンダード曲に見劣りしない本人自作の曲の素晴らしさにノックアウト。あわててソロ時代に遡って、彼女のレコードやCDを買い集めました。


この1stアルバムは鈴木茂プロデュース/アレンジによる作品。ここでは2曲の自作曲はあるものの、完全に歌手に徹していた頃ですが、やはりアンニュイな歌声が魅力的。バブリーなエコー感がある、80'sラテン・フュージョンなアレンジにも胸がときめきます。天下無敵のカフェ・バー(死語)サウンド。これが、いいのよ。