「黒いボブ・ディラン」というコピーは、どうもしっくりこないのですが、追悼の意、あるいは同じくらいに有名になるべきだったという願いを込めてギル・スコット・ヘロンでも。このアルバムは90年代初期のレアグルーヴの流れで知りましたが、当時オリジナル・ラヴ田島貴男氏も熱心に深夜テレビなどで彼を紹介していましたね。


純然たる詩人でもありながら、元ブライアン・ジャクソンとの連名で、ダークではありますが、非常にメロディアスで美しい歌物を作り続けたアーティスト。小編成でエレピだけをバックに切々歌う感じも、深夜に聴くシチュエーションにバッチリで、引き込まれます。LPで聴いてた時は、スクラッチノイズすら音楽的に聴こえたものです。


フライング・ダッチマンからストラトイーストへ。ソウルとジャズを融合させたような渋いレーベルから発表されたところもらしいです。エレピだけをバックに歌う数曲は、大切な友人からの手紙のように、胸に迫ってくるものが。その後、アリスタというメジャーと契約しても、常に切実で完成度の高いアルバムを作り続けました。