さすがに今となっては「自分たちのやってる音楽はブラスロックです」などというバンドも少なく、というかほとんどいなくなってると思いますが、60年代後半から70年代前半までは、相当そういうバンドが存在していたのではないか。その中でも、トータルで楽曲の完成度も高く有名な一枚がこれ。


「子供は人類の父である」という物々しい邦題は、当時国内盤レコードも発売されていた証拠でしょうか。実はサージェント・ペパーズ以上に歌謡曲はもちろん、黎明期の日本のロック(というか脱GS化)に与えた影響も大きかったようです。サージェント〜が聖典なら、これは「トータル・アルバムの作り方」の実用書みたいな。


個人的には、ブラスよりも、アル・クーパーのボーカルが印象に残ります。ほとんど彼のソロアルバム。時代の割にサイケ特有のぐちゃぐちゃした音ではなく、楽器の定位もスッキリ。このあたりはプロデューサーのジョン・サイモンの手腕でしょうか。後のニューソウル組への影響も含め、実は70年代を先取りした1枚。