今でこそ激しいロックはあまり聴かなくなってしまいましたが、ティーンエイジャーの頃は、聴いているアルバムの何枚かに1枚の割合で絶叫とノイズギターが響き渡るロックアルバムを聴かないと気持ちが落ち着かないという時期がありました。といっても音楽を聴き始めた頃は、既にパンクは終わっており、かといってグランジが流行るには、まだ早すぎました。そんな時期にハマったアルバムが、このビック・ブラックのセカンド。


スティーブ・アルビニといえば、後にゴッドファーザー・オブ・グランジともいわれる名プロデューサーで、一般的にはニルヴァーナの「イン・ユーテロ」('93)が有名ですが、個人的にはピクシーズの「サーファー・ローザ」('88)で、その名に注目しました。その後、輸入盤LPでこれを買って針を落としたときの衝撃度といったら。ドラムマシーンにベース、ギターというシンプルなアレンジなのに、このカッコよさは何?


どの曲も、せいぜい2分ぐらい。しかしビートにも変化があり、ボーカルも絶叫しながらも抑揚があり、今聴いても血湧き肉踊るものがあります。マシンビートなのでテクノ的な快感もあり、クラフトワークの「モデル」のカバーも違和感なし。その後のレイプマンは、生のドラムだったために、完成度が高いものの、独自性は少し失われたような気も。ナイン・インチ・ネイルズの「ダウンワード・スパイラル」('94)の隣に置きたい元祖オルタナの大名盤。