以前紹介したこともある70年代初頭のUKのグレート・アンノウンなフォークグループ、IthacaとAgincourt。そのバンドの中心人物、John FerdinandoとPeter Howellによる最初の自主制作盤で、同名の劇のサントラとして制作されたもの。当然、オリジナルはUKフォークの中でもトップクラスの激レア盤なのですが、普通にCD化されて、ちょっと驚き。この2人ではFrends名義でのポップなフォーク・アルバムも発掘され、CD化されています。


純粋にフォークでもないし、ポップでもないし、なんともとりとめのないBGMのような曲が、ものすごいモコモコした録音とたどたどしい演奏で次々と現れては消えてゆきます。同じようなモコモコ録音でありながら、ポップな楽曲ばかりで素晴らしいagincourtや、幻想的な展開がプログレファンの心も鷲掴みしたようなIthacaのようなものを期待すると、かなりハズします。それでも、どうしようもなく、このアルバムは好きです。


たぶん、実際にイギリスの田舎の青年たちが、自分たちの家を改造した安っぽいスタジオで、一生懸命に音を重ねて録音していったのでしょう。ここまでイギリスの田舎の空気を、どうしようもなく吸い込んでしまったような音は、他に知りません。このユニットの録音を次々と丁寧な解説とともに再発しているAcme Recordsに感謝。「録音」されたレコードは、どんなにマイナーなものであっても時代を経て蘇るときがあるものなのですね。