日本盤CDの帯には「スカコアシーンの原点」とか威勢のいい謳い文句が書かれていますが、いきなり1曲目からテンポユルユルの「A Message To You Rudy」で始まります。そもそもスカコアという言葉に、あまりいい印象がありませんが、スカのリズムを取り入れることの方法論だけじゃつまらない。スペシャルズの心意気を受け継ぐなら、スカのリズムだけでなく、その奥に潜むルーツ音楽のミクスチャー度にまで目を向けて欲しいもの。


この頃の彼らのPVやテレビ主演のライブなんかを見ていると、その不調っぽいたたずまいが最高なんですが、それでも演奏は乱れず、ミュージシャンとしてのキチンと強い意志も感じさせるものでした。単純にスカとかレゲエだけじゃなく、ジャマイカのルーツ音楽への愛情から、より深く、そのスカやレゲエに影響を与えたアメリカのR&Bやジャズの要素も感じさせるあたり、さすがとしかいいようがありません。


パンク的な勢いのなかにも、独特のエキゾチズムと、弾けるようなポップさを感じさせ、それはセカンドアルバムにおいて更に拡大していきますが、その後バンドは分散してしまいます。歌詞だけ見ると確かにパンクかもしれませんが、自分にとっては、このスペシャルズはパンクでも何でもなく、ドクター・バザーズ・オリジナル・サヴァンナ・バンドと並ぶ、最高のミクスチャー・ポップ・ミュージックの変わり種バンドだと思ってます。