その昔、1枚に編集されていたものを聴いた時は、印象が薄かったダムドの「ブラック・アルバム」は、当然のようにオリジナルは2枚組。その2枚組仕様の紙ジャケCDで買い直して、最近またハマってしまったというわけです。1曲が17分という「カーテン・コール」という曲が収録されていることでも有名なアルバムですが、パンクバンドで出発したバンドが、そんな長い曲を作る事自体が、逆にカッコいいじゃないですか。ヴァイオリンやシンセでジワジワと盛り上がる後半など、飽きさせない1曲に仕上がってます。


2枚組といっても、1曲17分の曲とライブテイク数曲が1枚分ぐらいあるので、残りの1枚は比較的コンパクトが楽曲ばかりで構成されています。とにかく、どの曲も比較的ポップです。思うにファーストの頃の勢いあるパンク的なテイストは、ギターのブライアン・ジェイムス(後にTHE LORDS OF THE NEW CHURCHを結成)のセンスによるところも大きかったのではないでしょうか。その彼が脱退して、キャプテン・センシブルがベースからギターに転向してから、さらにポップ化が進んでいったのでしょう。


ただポップといってもジャケの印象もある通り、決して軽くはないのです。その後のキャプテンのソロがトニー・マンスフィールドのプロデュースでテクノ・ポップをやったような「軽さ」は、ここにはありません。他のバンドメンバーによる共作である曲のクレジット通り、ロックバンドとして意外と骨太だったんだなぁという感じのサウンドです。最初はとっつきにくい印象もあるかもしれませんが、パンクもニューウェイブもサイケもプログレも愛する英国ロックファンなら絶対必聴。ダムドのイメージが変わるかも。