スティーヴ・アルビニがプロデュースしたピクシーズのファースト・アルバム。まるでオンボロのガレージで演奏している音を、ものすごいハイファイな機材で録音したかのような、何とも生々しい音が、いかにもアルビニらしい。突き抜けたポップ度は、セカンドの「ドリトル」だと思いますが、初めて聴いたインパクトという意味では、コレにつきます。結局ニルヴァーナなんて、これのマネじゃん、とまでは言いませんが、当のカート・コバーンが、そういう発言をしていたとか、していないとか。


ボーカルが絶叫してるのに、マイクから30cm離れたような遠い声だったりするミキシングが、妙な感じで面白いです。さらにワザとアルバムの流れを遮るような、変な間があったり。とにかく熱いんだかクールなんだかわからない、この感じ。さらに期待をこめてライブを観ると、ボーカルはハゲだしデブだし、ベースはおばさんだし、ギターはスキンヘッドだし、と何もルックス的にいいところが見当たらないという「逆ロック」的な佇まいが、まわりまわってカッコいいという、この屈折した感じ。最高です。


とにかくピクシーズに駄作なし。さらにライブも最高だったりするので、残された音源はBBCのライブでも、DVDでも、かたっぱしからチェックしていますが、いまだに飽きる事がありませんね。しかし、最近の再結成ライブをYou Tubeなどで観ていると、さらにメンバーのルックスの悪化(失礼)が進んでおり、もはや何のフォローのしようもありませんが、相変わらず曲も演奏も絶叫も、あの頃のままでした。どの曲も、さぁ、盛り上がるぞというところで、あっという間に尻切れとんぼのように終わるのも、いかにも。