便宜上ジャズにカテゴライズしていますが、これはやはりニューウェイヴ時代のフュージョンの変種。墨汁まみれのウェザー・リポート坂田明がデタラメ語で歌うタイトル曲など、同時期のWha-ha-haのアルバムにに納められていても不思議ではないぶっ飛んだアヴァンギャルド・ポップ。そう、ジャズでもロックでもなく、どこかポップということが、とても重要なのです。


Vol.1とVol.2が出ていますが、1は割とオーソドックスなジャズ。1も大好きですが、何といっても2の面白さこそ再評価を。KYLYNのメンバーも参加しているので4ビートやフリージャズで終わらないのは予想がつきますが、爆発と混沌が魅力の山下洋輔トリオの70年代を通過してこそ、ここまで突き抜けたポップで美しいアンサンブルにも深みがあろうというもの。


ラスト曲のブラスアンサンブル曲を聴くと、坂本龍一が「音楽図鑑」('84)で目指したサウンドが、もう既にこの時点で出来上がっている事実に驚いてしまいます。ニューウェイヴ的な軽さのあるリフを主体としたメロディながら、ハーモニーは完全にジャズそのもの。SAKATAオーケストラといい、この時代の和製ニューウェイヴジャズこそ、もっとも今の時代に美味しい音なのでは?