トラフィックサウンド同様、こちらも南米ペルーの怪しげなサイケバンド。これがプログレ/ハード好きの間で話題になったタルカス(TARKUS)の前身バンドだったとは驚きの事実。ソフト・ロックみたいに紹介されてたりもしますが、アソシエイションみたいなものを期待すると全然違います。脈絡もなく様々なタイプの曲に挑戦しているのに、どの曲も南米ならではのテキトーな録音状態と揺れまくるリズム故に、結果的にサイケになってしまったといいますか。


1曲目がアルゾ&ユーディーンをカバーというのも話題性充分なのですが、同じコンガを使っても南米の熱帯地方ならではの熱いリズムがキテます。妙なかけ声とともにアマゾンの奥地にでも迷い込んだような凄まじい演奏。更に曲の展開が変わるたびにリズムまで変化してしまうのは、狙いなのか拙い演奏力ゆえの偶然の産物なのか。CDのインナー写真での、まるで会社の忘年会みたいな侘しいステージ写真も、また泣けるほどのローカリティ。


リーダーが日系ペルー人というのもあるのでしょうか、たどたどしい英語の発音と英米ロックとシンプルかつ強引な解釈に、どこか日本の同時期のニューロックの作品に近い雰囲気を感じます。そういう意味ではペルーもニッポンも、当時の世界のロック界では「辺境」であったのでしょう。録音や演奏の未熟さすら他にはない個性になってますし、常に頭の中が「?」になってしまうのに何度も聴きたくなるという不思議な魅力があります。