もしシド・バレットピンク・フロイドにずっと在籍し、そのままパンク時代に突入したら、こんなサウンドになるのではないでしょうか。ロビン・ヒッチコック率いるソフト・ボーイズの2ndアルバム。2本のエレキ・ギターがグリグリと激しいアンサンブルを繰り出しながらも、これは相当ポップ。そんなポップな旋律に「I Wanna Destroy You」なんて歌詞がのっちゃうんですから、ヒネくれポップの面目躍如。ボクにはわかりませんが、歌詞も個性的で面白いみたいですし。


ロビンのお父さんは作家だったらしく、キンクスがサントラを手掛けた「パーシー」の原作者でもあったとか。さらに母親もアート・ギャラリーで働いていた人らしいので、ロビンの才能を育むには理想的な家庭環境だったといえるでしょう。歌詞の文学性はもちろん、ソロ・アルバムのジャケットなどでも絵を描いたり、とにかく溢れんばかりの才能の持ち主。REMにも多大な影響を与えたりしている重要人物なのに、何故かロビン自身は大ヒット曲に恵まれていないのが悲しいですが。


ソロも大好きなんですが、やっぱり若い勢いに溢れたソフト・ボーイズの2枚のアルバムは格別です。3曲目のシタールの使い方なんて、何も考えずにテキトーにかき鳴らしているんですが、そのいい加減にやってしまった感が、またパンクな勢いでもあるわけです。もちろんロビンのソロも「クイーン・エルヴィス」('86)や「アイ」('90)など、とても優れた作品が多いのでオススメします。音楽的には日本のカーネーションあたりに通じるものを感じますね。