ラフトレードから3枚のアルバムを残し、いつの間にか消えてしまっていたシェリアン・オーファンが、まさか16年ぶりに新作を出していたとは知りませんでした。といっても4年前の話。4年間も、そういう情報が入ってこなかったというのも地味すぎて悲しいんですが、聴いてみたら長いブランクを感じさせない「あの頃のまま」の彼らが帰ってきたという感じ。幻想的なストリングスをまぶしたアレンジは、まさにイギリスの田園風景そのもの。レーベルはインディーのようですが・・・。


何といってもキャロラインのボーカルが昔とまったく変わらない美しい声なのが嬉しいじゃありませんか。一方、ジェムの声はずいぶんと太い感じに変わりましたが、この声の方が彼らの音楽に合っているように思います。ファーストほどクラシカルな感じではなく、セカンドのロック色とサードのアコースティック色を発展させた感じ.。カントリー風やインド風、さらにはグランジみたいなハードなナンバーまであって「昔の名前で出ています」とは違う前向きも感じられ、とても元気。


チューダー・ロッジやスパイロジャイラのような英フォークの流れを汲んだグループだと今まで思っていましたが、このアルバムなんかを聴くと、ストリングスがジョージ・マーティン風だったりして、案外ビートルズあたりが彼らのルーツの真ん中なのかなぁとも感じました。このドラマチックなポップテイストは、今の自分が目指す理想のサウンドそのものだったりします。それにしても、これだけ優秀な復帰作を聴かされてしまっては、さらなる新作を期待しちゃいますね。