イアン・カーティスの自殺後に発表された2枚組。アルバム未収録曲と未発表だった死の数日前のライブテイクで構成されています。コレクターズ・エディションには更なるライブテイクも収録され、彼らのライブの実力を再認識した次第。簡素なジャケもファクトリーならではの美しさがあります。


イアン・カーティスの伝記映画「コントロール」を手掛けたアントン・コービンは「ステージでの彼(イアン)は、普通の生活者がどこまで変わっていけるかに挑んでいったところもあった」とインタビューで語っています。確かにイアンのルックスは、まるでどこにでもいるような真面目な学生風です。


低い声でボソボソと震えるように歌ったかと思うと、突然何かに怒ったように声を荒げたり。真面目そうな人間の歌だからこそ独特の緊張感が伴います。エンジニアのマーティン・ハネットによって美しく磨き上げられたスタジオ録音と、荒々しいライブ録音と、そのどちらも魅力的なバンドでした。