以前「tourist in the room」というファーストミニアルバムを紹介したSayoko-daisyの全国流通盤が発売されました。その間に5曲入りセカンドミニアルバム「Need them but fear them」が発売されているので、今回はサードにして初のフルアルバムということになります。もはや宅録主婦が作るテクノポップうんぬんではなく、1人のシンガーソングライターとして着実に成長しているようです。このアルバムを聴いて、ますます彼女のファンになりました。


ユーモラスな1枚目と内省的な2枚目を経て、今回は酸いも甘いも噛み分けたかのような非常にフラットな歌ものポップスが中心。やわらかな音色のテクノサウンドと穏やかな声質がとてもマッチしています。場面展開がコロコロと変わるファンキーな1曲目はちょっとビックリしましたが、これがまたアルバムのスタートにしていいアクセントになってます。いかにも自宅録音といった打ち込みの固いリズムが、むしろヨーロピアンなエレガンスさを醸し出しているのも不思議。とにかく全曲聴き心地が良い。


盛り猫のように喚き散らすアイドル達にも、カフェ系アーティストのスノビッシュな佇まいにも、ちょっとうんざりしていた自分には、まさに会心の一撃といった良い意味でノーマルなポップス・アルバム(だからノーマル・ポジション?)。懐かしの80'sテクノ歌謡っぽい香りはそのままに、しかし描かれている歌の風景は現代そのもの。まさしくこれは今を生きる女性シンガーの歌であり、その凛とした佇まいも素敵です。「Strawberry Future 」の「私はウソなんてつけない」というフレーズがいつまでも心に残ります。