デイヴ・パイク・セットといえば、トーキング・ラウドのコンピレーションに収録された「Mathar」がクラブ・ジャズ・ファンの間で有名かな。その人気曲が収録されたアルバム「Noisy Silence - Gentle Noise 」('69)は当然のようにすぐ再発されましたが、この「Infra-Red」('70)はなかなか再発されずヤキモキしたものです。07年にようやく日本で世界初CD化。


シタール入りの「Raga Jeeva Swara」は「Mathar」の続編ようですが、他の曲など変拍子やフリーに片足突っ込んでいる曲もあるのでクラブ向きとは言い難い。しかし、いかにも70年代初頭の怪しげなサイケデリック・ジャズ・ロックが好きな人には、やはりたまらない音。クセのあるエレキ・ギター、ブリブリなベース、パイクの浮遊感あふれるヴァイヴ。そして謎の語りとスキャット


先のインドのシタールのみならず、6曲目で唐突に登場してくる逆回転サウンドなど「流行っているものは何でも取り入れる」というミーハー的な軽さとは裏腹に、実際に出てくるサウンドは妙にドロドロして重いサウンドになっているのがドイツ系のミュージシャンならでは。やはりドイツの気候や風土がスタジオの音にも影響してくるのか、などと夢想して聴くのも一興。