リマスターされたCDの解説によると、このアルバムに入れる予定だったスティーヴィー・ワンダーの書きおろし曲が、なんとあの有名な「心の愛」だったそうです。ところがスティーヴィーのスタッフが「あの曲よい曲だから日本人なんかにあげるのもったいない」と言い出してボツになってしまったそうです。なんということを。ブレッド&バターのヴァージョンは細野晴臣のアレンジで「特別な気持ちで」という日本語曲でした。後にシングルも発売されています。


その「心の愛」が全米No.1に輝いている頃、スティーヴィーのバンドのギタリストが「あの曲は俺が書いた」と訴訟問題になったそうで、その事でスティーヴィーがブレバタに連絡してきました。たまたま当時のデモテープが残ったので、それを証拠してアメリカに送ったところ、スティーヴィーは事なきことを得たそうです。そしてスティーヴィーが彼らへの感謝の気持ちとして新たに「REMEMBER MY LOVE」というブレバタの新曲を書き下ろしてくれたそうな。いい話。


アルバムに触れるスペースがなくなりましたが、細野晴臣サウンド・プロデューサーの中心に迎えた洗練されたアレンジは当時の米国のジャズ/フュージョン〜クロスオーバーと絶妙にリンクした素晴らしい仕上がり。ユーミン書き下ろしの「あの頃のまま」から「タバコロード20」という最初の2曲で名盤は保証されたようなもの。ポール・サイモンのソロと並べて「The Last Letter」を聴いてニンマリするもよし。レゲエ調の「渚へ行こう」も個人的に大好きな曲です。