「なんとなくクリスタル」ブーム以後、日本盤で量産された洋楽AORアルバムには国内独自のオリジナルジャケが多かったりします。いや洋楽だけじゃなく松岡直也のような国内アーティストさえ永井博のイラストで出し直されていましたから、そういう気分というか時代だったのでしょう。実際ロンバケ以降、ジャケに椰子の木のイラストあると必ずヒットするとか謎の噂さえ当時業界で囁かれていたとかなんとか。


今回紹介するクレイグ・ターキーも、オリジナル盤はハゲ頭(すみません)の地味な男性が椅子に座って微笑んでいる、今となっては味、しかし当時としては相当キツかったであろうジャケが、国内ではこのようなファンシーなイラストジャケで発売されていました。当時の日本盤LPはテイチク・レコード。テイチクまでAORやってたんですね。ちなみにセカンドも国内独自のイラストジャケで発売されています。


彼の音楽の特徴は...といっても正直これといった特徴もクセもありません。しかし妙にツボだけは心得ているという爽やかなソングライティングが実に魅力的です。歌声も決して声を張り上げたり技巧的ではなく、朴訥して淡々とした歌いっぷり。82年ならではの音質のクリアーさも良いし、カナダ出身ならではの肩肘張らないリラックスしたバンドサウンドも普遍的な味わいがあります。同じようなまったりした曲が続くのもAOR的シチュエーションに最適だったりしますね。