鈴木さえ子の大傑作3rd('85)。古今東西これほど自分の感性にピッタリとくる音楽はなかったというくらい大好きなアルバム。ボーカルの音量が変に遠かったり、ベースの音が聴こえにくかったり、ドラムの音が80'sっぽいバリバリした音だとか、普通なら欠点になりうる要素さえ、このアルバムの前では、とても愛くるしいモノに変身してるのだから驚き。


サンプリングの使い方も独特で、インダストリアルな音色ではなく自転車のベルや口笛など、とても軽やか。しゃべり声をカットアップして音程をつけるワザなど、彼女も好きであろうゴドレイ&クレームを彷彿とさせます。歌モノとインストが、どちらに寄りかかることもなく並んで共存しているのも面白い。


場面場面で瞬時に切り替わるアレンジの妙や、クラシックの室内楽も彷彿とさせるメロディなど、曲作りはどこまでもプロフェッショナル。なのに全体に質感がアマチュア的。そして何より、この無国籍感は何!?アンリ・ルソーを思わせるジャケの絵や、緑色のカラーレコードなど、手作りっぽい質感も素晴らしい。正直blue marbleが目指してる理想の音が全部ここに。