クリアーで抜けのよい、まったく時代に流されない鉄骨のAOR。それでいて、キチンと1990年という時代も感じさせるコンテンポラリーさもあるのだから不思議。エブリシング・バット・ザ・ガールに駄作なしながら、これは前作「アイドルワイルド」と並んで、特に名曲揃いのアルバムだと思います。


プロデュースはトミー・リピューマ。前作はドラム・マシーンの固いビートが、逆にホームレコーディング的な風情をかもし出していて、それはそれで魅力的でしたが、こちらはオマー・ハキムの見事なドラミングを筆頭に、リピューマならではの人脈を最大限に生かしたプロフェッショナルなスタジオ・ワークが堪能できます。


そういう意味でもAORなわけなんですが、それでもボクは、トレイシー・ソーンとベン・ワットの歌声やメロディから溢れ出す英国ならではの「かげり」のようなものこそ、ETBGの最大の魅力だと信じてやまないです。リマスター盤CDの効果も絶大だったので、旧盤をお持ちの方も、絶対に買いなおして欲しい1枚。