朝を開けだして、夜をとじるまで
いわゆるDTMというより「多重録音」という言葉がピッタリくるシンガーソングライター「Ye Ye」のデビューアルバム。なんと限定ながらアナログ盤も発売されており、サウンドの質感やジャケット写真の大きさも含めて、レコードで聴くのがとても心地よいアルバムになってます。フワフワとしたボーカルは線の細い感じもしますが、曲はアコースティックながら骨太な印象も。誤解を恐れずに言うならば、全体のサウンドそのものは、とてもロックなイメージなのです。


1曲目の「morning」のPVをYou Tubeで観ていただければわかるのですが、この若さですべての楽器を演奏してしまうスキルだけでも凄いのに、シンプルなのにツボを外さないメロディ作りも相当なもの。「であう、わかれる」なども、Aメロこそサニーデイ・サービスっぽい感じなのに、その後「なんと、そうなるのか!」と思わずにはいられない独特のメロディとコード進行に一瞬ですり替わっていくあたりに並々ならぬ作曲能力の高さも感じさせてくれます。


全体的には端正に作られているアレンジなので、いわゆる「1人多重録音」ならではの独自の面白さが今後どのように楽曲に展開させていくかによって、評価もずいぶん変わってくると思います。個人的にはPredawn平賀さち枝などとならんで、最近の日本の女性SSW系ではフェイヴァリットの1人になりそう。ズッシリと重たいアナログ盤は350枚限定らしいので、興味のある方はお早めに。アルバム購入者限定で新曲のダウンロードパスもあり。