クリス・モンテスを初めて聴いたのは中学生の時。でも最初はものすごい印象が悪かったんですよ。日本だけで何故か大ヒットした「愛の聖書」って曲をラジオで聴いたんですが、まぁ「ダセ〜」って感じでした(この曲だけは、今でもあまり好きじゃない)。おまけに声も軟弱の極みというかナヨナヨしたオカマ声でしょ。一応ロック少年だったボクは「間違っても、こういう音楽が好きになることはないな」と思っていました。

でも高校生の頃でしょうか。ニック・デカロの「イタリアン・グラフティ」('74)ってアルバムが何故か異常に大好きで、毎日のようにそのアルバムを聴いてた時期があったんです。あれもクリスみたいなオカマ声なのに、何で好きになったんだろう・・・とか思ってたら、遂に日本で「A&M25周年」みたいな感じで再発盤CDがドバっと出たんです。で、例のクリスのアルバム「愛の聖書」('69)(原題は「Watch What Happens」。別の曲ですけど・・)がラインナップに混じってたんですよ。で、その広告の下には、こう書かれていました。「アレンジはニック・デカロ」。へ?そうなの?

おそらく80年代の後半の話なんですが,もちろん当時はソフト・ロックなんて言葉は知りませんでした。だいたいA&Mと聞くと何故かスーパー・トランプを思い出してたし(笑)。しかし、そのA&M再発盤のラインナップにあった中で、クリス・モンテス、クローディーヌ・ロンジェ、そして例のロジャー・ニコルスだけは、他の何物にも変えがたい独特の匂いを当時から感じていました。その匂いの原因を探るべく、ボクは、それらのアルバムのクレジットを隅々まで眺め、プロデューサーのトミー・リピューマなんて名前を覚えたものです。ソフト・ロック的なものが認知されたきっかけって、ピチカート・ファイヴとかフリッパーズ・ギターの功績大なんでしょうかね。よく知りませんが、小西康晴氏が、よく「テッチー」とか、そういう雑誌で、よくこういう音楽を紹介していたのだけは、何となく憶えています。

さて、クリスのこのアルバムは前半が擬似ライブのメドレーになってますが、最初のヒット曲「コール・ミー」が延々リピートしてるみたい(笑)それはともかく「Where Are You Now」って曲が、もう今でも大好きなんですよ。メロディ、アレンジ、どれをとっても完璧すぎて、マジでblue marbleの理想の音なんですが・・・やっぱりコレって軟弱ですかね?